やさしいせかい
by illustrator Rika
【 葉山の夏 】
夏の陽射しに照らされてキラキラと輝く海は
まるで手を広げて温かく迎えてくれているよう。
疲れたらいつだってここに戻ってこれる。
そう思うとまた歩いて行ける。
【 散歩は海岸沿いで 】
海のない県で育った私は非日常の光景に浮かれていた。
そんな私とは裏腹に慣れた様子で犬を連れた奥様が
海沿いを通り過ぎていく。
誰かにとっての日常と非日常が交差して波に流されていく。
いつからでも始められる。
海は優しく見守ってくれているはず。
【 やさしい夕暮れ 】
だんだんと空がオレンジ色に染まっていき、
太陽が沈んでいく。
海の夕暮れはとても静かで波の音しか聞こえない。
太陽が完全に沈んだら、
夜でもキラキラと光り輝く都会とは違い辺りは真っ暗に。
自然のサイクルに合わせて今日はゆっくり休もう。
【 癒しの木 】
グアムの夕暮れ。どっしりとそびえ立つヤシの木が
夕日によって所々オレンジ色に光り、
色んな国の人が一斉にカメラを向ける。
異国にいることを噛み締める夕暮れ時。
今いるところが暗闇でも大丈夫、世界は広い。
【 しゅっぱーつ 】
横浜、山下公園。
思い思いの時間を過ごす人々を優しく見守る大きな船。
色んな想いを乗せてどこまでも。
どんな人も今日がスタートの日。
ここからどこへだって行ける。
【 雲を抜けたら…】
雲を抜けたら広がる青空、そして遠くにかかる虹。
南港に停泊していたさんふらわあを見ながら
未だ見ぬ遠い地へと思いを馳せる夏の午後。
今はまだグレーの雲しか見えていなくても
その先には見たことのない世界が待っている。
そう信じて今日も一歩進む。
【 日常との境界線 】
祖父母の家があり何度も訪れてきた島根。
車中から見えるどこまでも続く日本海を眺めていると
子供の頃のように真っさらでピュアな気持ちに戻っていく。
この海の向こうには出会ったことのない人や街があって
同じようにそれぞれの人生を生きている。
そんな中で交じあえた人たちは奇跡。
そんな忘れがちな気持ちを取り戻させてくれる。
【 穏やかな朝 】
良質なシジミが取れることで有名な島根県、神西湖。
ここでの一日の始まりはとても穏やか。
やさしい光を放つ太陽が湖面や雲、
木々の葉っぱに光を届ける。
地元の方々が太陽を背にシジミ漁を行っている。
今日は良い日になりそうな予感。
【 The road to good luck 】
暗い海の中で光り輝くダイヤモンド。
その光を辿っていけばきっと辿り着ける。
気が付けば周りには仲間たちもたくさん。
今が真っ暗闇で立ち止まってしまっていても
小さな希望をひとつづつ拾っていけば
光り輝く未来が待っている。
【 自由でいいよ 】
水の中に入った瞬間すいすいすーいと泳ぐペンギンたち。
それまではちょこまか歩いていたのにまるで別人のよう。
こんな風に無理なく自由に過ごせる場所を皆が見つけられる、
そんなやさしい世界であったらいいな。
【 いってきます、ただいま 】
大阪の空の玄関、関西空港。
夢や不安を持って出発する人と希望や
安心感を抱き帰ってくる人を照らす夜景。
いってらっしゃい、おかえりなさい。
【 マジックアワー 】
一日で最も美しいとされる、
空が魔法色に染まるマジックアワー。
散々な一日だった帰り道、
ふと頭を上げると美しい空が広がり
カチコチに固まっていた心がほぐれていく。
この世界にはまだまだこんなにも美しい景色がある。
そう思うと重かった足取りも軽くなる。
【 夜明け前の空 】
一日の始まりを告げる朝陽が顔を出し始める夜明け前。
薄暗い空が少しづつ色づいていく。
まだ皆が寝ている時間帯。
同じようにこの空を見ている人のことを
想いながら一日を終える。
真逆にいる人のことも受け入れられる
世界になりますように…
【 憧れの地 】
北海道、洞爺湖。
映画のロケ地となり長年憧れていた地に
ようやく降り立つことが出来た。
手前には宿泊地の畑、その奥に木々、そして洞爺湖。
洞爺湖にどっしりとそびえ立つ山々。
驚くほど静かで心が研ぎ澄まされる空間。
訪れたのは夏、冬には一面が真っ白になるそう。
四季によってがらりと表情が変わる特別な風景。
【 生きてて良かった 】
思わず口をついて出た言葉。
初めて訪れた異国の地、カナダで見たナイアガラの滝。
地響きがするほどの轟音と水飛沫に鳥肌が止まらない。
滝にはダブルレインボー、
こんな世界を一生のうちに見れた幸運を大事に
抱きしめながらこぼれ落ちないようにキャンバスに描き写す。
幸せがひろがりますように…
【 クジラに乗ってどこまでも】
色んなことに疲れた女の子にクジラが優しく話しかける。
“僕の背中で一休みしない? ”
女の子が背中に乗るとクジラは勢いよく進み始める。
“僕が海の中を案内してあげるよ ”
見たことのない美しい海の景色に女の子の顔には笑顔が。
クジラのように温かくてやさしい人に皆出会えますように…
【 ふわふわゆるゆる】
いつ見てもふわふわゆるゆる、呑気でいいねとチクリ。
これでも立派に生きている。
キラキラ温かい光を放って暗い海を照らしている。
これからもふわふゆるゆるやさしい光を放ちながら生きていく。
【 温海】
神秘に満ちた海底に存在する温かい世界。
色とりどりの美しい珊瑚に囲まれてのびのびと泳ぐ魚たち。
背伸びをしなくっても良い場所。
皆それぞれにそんな場所がきっと見つかるはず。
【 旅の始まり】
飛行機の窓から見える街が小さくなっていくにつれ
ワクワクが増していく。
この先にはどんな出会いがあり、景色が待っているのだろう。
見慣れた街を離れしばしの現実逃避へ。
【 いつでもそこに…】
温かな光に照らされた東京タワーの周りを囲む
ギラギラとしたカラフルな光たち。
その時々の感情によって見え方も変わるのかも。
でもいつでも動かずそこにあって見守ってくれている。
そんな風に思うと少しは強くいられる気がする。
【 想いを乗せて…】
様々な人の願いと共に空に浮かび上がるランタン…
夜空を彩り人々の心を癒していく。
そして高く高く上がりやがて見えなくなっていく。
皆の願いが叶いますように。
そしていつまでもやさしい世界でありますように。